他人まね嫌う大阪人…ラーメン根付かぬ文化のなぜ?(産経新聞)
2010年 06月 11日
ゴールデンウイーク明けの5月初旬。大阪・ミナミの居酒屋にラーメン部員が集まり、今後の方針について、意見をぶつけ合った。
[フォト]ラーメンバトル個性派ズラリ!優勝「牛タンラーメン」の実力は?
「大阪には地域色のあるラーメン文化がなんで根付かないんやろう」
「大阪といえば粉モン文化。ラーメンも一種の粉モンなのに不思議ですよね」
実は意外にも大阪はラーメン店が少ない。電話帳に登録されているラーメン店を調べてみると、大阪は人口1万人あたり1.2店(東京は3.1店)で全国最低。ちなみにうどん店は約2倍の2.2店。この数字だけを単純に比較すれば、大阪人はラーメンよりむしろ、うどんを好む傾向ということになる。
とはいえ、大阪が全国ワーストというのはあまりにも寂しい。なぜ大阪にラーメン店が少ないのかという疑問は残るが、まずは「究極の一杯」を目指したラーメン作りにこだわりたい。そのヒントを探るべく、「自分は博多ラーメンで育った」と豪語する伊豆丸亮が立ち上がった。
向かった先は、今年4月にオープンしたばかりのつけ麺専門店「宮田麺児」(大阪市中央区)。お笑い芸人、シャンプーハットのてつじ氏(34)がプロデュースしたことで話題になった店でもある。
「フランスパンも麺やで」「小麦は絶対に裏切らへん!」。伊豆丸の取材を快く受けてくれたてつじ氏だが、さすがは「つけ麺王子」と呼ばれるだけあってコメントもひと味違う。「ラーメンにしろ、うどんにしろ、大阪の麺食はメーンがスープ。麺の地位が不当に低いんです」
これはギャグなのか、それとも本気なのか。戸惑う伊豆丸をよそに麺へのこだわりを熱く語ったてつじ氏。取材が一段落した後、伊豆丸は勧められるがままに3杯をあっさりたいらげてしまった。
空腹を満たし、趣旨を忘れかけた伊豆丸だが、ここでようやく本題を切り出す。「大阪にご当地ラーメンがないのはなぜ?」。てつじ氏の答えは明快だった。「大阪は何でも受け入れてしまって、特化しないんですよ」
良いものは素直に受け入れる半面、型にはめられることを嫌う「気質」。大阪人特有の感性が、ご当地ラーメンを根付かせない背景にあるのか。ただ、究極のラーメン作りを目標に掲げる以上、途中で投げ出すわけにはいかない。
ここでもう一人、ラーメン部が送り出したのは、一流フランスシェフの息子で「食通」を自称する藤谷茂樹。関西グルメ雑誌「ミーツ」などで執筆するグルメライター、曽束政昭氏(41)に大阪のラーメン事情についてうかがった。
「大阪はうどん文化が色濃く、ラーメンの入る余地が狭かった。それに、大阪人には『ただ真似すんのはいや』という気質もあり、『この食材をみんなで使いましょう』となりにくい」
とても丁寧な語り口の曽束氏だが、藤谷が「大阪のご当地ラーメンを作りたい」と尋ねると、一転して厳しい視線を向けた。「それは難しいですね。例えば河内鴨と泉州の魚介など、3つの地域が融合しないと大阪らしさは出ない。でも、うまくまとまりますかね…」
考えてみれば、有名なご当地ラーメンは、店によって多少の違いがあっても、スープの味や麺作りのベースは同じだ。大阪の食材でどう表現するか、ポイントはそれに尽きる。
取材を終えた藤谷を囲んでミナミに集結したラーメン部。さっそく“壁”にぶち当たり意気消沈したのか、いまひとつ盛り上がらない。すると、田中一世が突然テーブルをたたいて言い放った。
「こうなったら指折りのラーメン職人に協力を仰ぐしかないですよ」。ラーメン部の危機を乗り越えるべく、わらをもすがる思いで再びあの男を訪ねた。
★これまでのあらすじ★ 大阪のご当地ラーメン作りを目指し、産経新聞大阪社会部の記者たちが勢いだけで結成した「大阪ラーメン部」。達人として名高い「支那そばや」店主、佐野実氏を訪ね、食材の大切さなど貴重なアドバイスをいただく。
■田中一世(30)
千葉県出身。5年間の大学生活で「主食はラーメン」が定着。
■藤谷茂樹(28)
千葉県出身。最近よくラーメンを食べる。彼女も募集中。
■伊豆丸亮(33)
福岡県出身。外食マニア、エンゲル係数は「K点越え」らしい。
35歳以下の記者で取材・執筆しています。投稿やお便り、質問は下記のアドレス(月刊オーサカ箱【U35】編集部)までお寄せください。
u35@sankei.co.jp
【関連記事】
・ トマトラーメン 健康志向追い風の赤い新定番!?
・ 富山の人気ラーメンをカップめんに サークルKサンクス
・ ラーメン“ネタ”交換 フジとWOWOWが異色コラボ
・ 韓国では居酒屋ブーム 日本食が大好き
・ サラダ麺ブームの兆し 背景に女性の健康志向
・ 「民主党全体とパイプがある」―菅新政権発足で原中会長(医療介護CBニュース)
・ <菅内閣発足>「将来像描いて」 脱貧困に願い切実(毎日新聞)
・ <雑記帳>「蚕飼育キット」発売…家庭で繭作り観察を 京都(毎日新聞)
・ 「財政の立て直しで役割果たす」−野田佳彦財務相(医療介護CBニュース)
・ 「とうとう来た…」都城で口蹄疫、衝撃と落胆(読売新聞)
[フォト]ラーメンバトル個性派ズラリ!優勝「牛タンラーメン」の実力は?
「大阪には地域色のあるラーメン文化がなんで根付かないんやろう」
「大阪といえば粉モン文化。ラーメンも一種の粉モンなのに不思議ですよね」
実は意外にも大阪はラーメン店が少ない。電話帳に登録されているラーメン店を調べてみると、大阪は人口1万人あたり1.2店(東京は3.1店)で全国最低。ちなみにうどん店は約2倍の2.2店。この数字だけを単純に比較すれば、大阪人はラーメンよりむしろ、うどんを好む傾向ということになる。
とはいえ、大阪が全国ワーストというのはあまりにも寂しい。なぜ大阪にラーメン店が少ないのかという疑問は残るが、まずは「究極の一杯」を目指したラーメン作りにこだわりたい。そのヒントを探るべく、「自分は博多ラーメンで育った」と豪語する伊豆丸亮が立ち上がった。
向かった先は、今年4月にオープンしたばかりのつけ麺専門店「宮田麺児」(大阪市中央区)。お笑い芸人、シャンプーハットのてつじ氏(34)がプロデュースしたことで話題になった店でもある。
「フランスパンも麺やで」「小麦は絶対に裏切らへん!」。伊豆丸の取材を快く受けてくれたてつじ氏だが、さすがは「つけ麺王子」と呼ばれるだけあってコメントもひと味違う。「ラーメンにしろ、うどんにしろ、大阪の麺食はメーンがスープ。麺の地位が不当に低いんです」
これはギャグなのか、それとも本気なのか。戸惑う伊豆丸をよそに麺へのこだわりを熱く語ったてつじ氏。取材が一段落した後、伊豆丸は勧められるがままに3杯をあっさりたいらげてしまった。
空腹を満たし、趣旨を忘れかけた伊豆丸だが、ここでようやく本題を切り出す。「大阪にご当地ラーメンがないのはなぜ?」。てつじ氏の答えは明快だった。「大阪は何でも受け入れてしまって、特化しないんですよ」
良いものは素直に受け入れる半面、型にはめられることを嫌う「気質」。大阪人特有の感性が、ご当地ラーメンを根付かせない背景にあるのか。ただ、究極のラーメン作りを目標に掲げる以上、途中で投げ出すわけにはいかない。
ここでもう一人、ラーメン部が送り出したのは、一流フランスシェフの息子で「食通」を自称する藤谷茂樹。関西グルメ雑誌「ミーツ」などで執筆するグルメライター、曽束政昭氏(41)に大阪のラーメン事情についてうかがった。
「大阪はうどん文化が色濃く、ラーメンの入る余地が狭かった。それに、大阪人には『ただ真似すんのはいや』という気質もあり、『この食材をみんなで使いましょう』となりにくい」
とても丁寧な語り口の曽束氏だが、藤谷が「大阪のご当地ラーメンを作りたい」と尋ねると、一転して厳しい視線を向けた。「それは難しいですね。例えば河内鴨と泉州の魚介など、3つの地域が融合しないと大阪らしさは出ない。でも、うまくまとまりますかね…」
考えてみれば、有名なご当地ラーメンは、店によって多少の違いがあっても、スープの味や麺作りのベースは同じだ。大阪の食材でどう表現するか、ポイントはそれに尽きる。
取材を終えた藤谷を囲んでミナミに集結したラーメン部。さっそく“壁”にぶち当たり意気消沈したのか、いまひとつ盛り上がらない。すると、田中一世が突然テーブルをたたいて言い放った。
「こうなったら指折りのラーメン職人に協力を仰ぐしかないですよ」。ラーメン部の危機を乗り越えるべく、わらをもすがる思いで再びあの男を訪ねた。
★これまでのあらすじ★ 大阪のご当地ラーメン作りを目指し、産経新聞大阪社会部の記者たちが勢いだけで結成した「大阪ラーメン部」。達人として名高い「支那そばや」店主、佐野実氏を訪ね、食材の大切さなど貴重なアドバイスをいただく。
■田中一世(30)
千葉県出身。5年間の大学生活で「主食はラーメン」が定着。
■藤谷茂樹(28)
千葉県出身。最近よくラーメンを食べる。彼女も募集中。
■伊豆丸亮(33)
福岡県出身。外食マニア、エンゲル係数は「K点越え」らしい。
35歳以下の記者で取材・執筆しています。投稿やお便り、質問は下記のアドレス(月刊オーサカ箱【U35】編集部)までお寄せください。
u35@sankei.co.jp
【関連記事】
・ トマトラーメン 健康志向追い風の赤い新定番!?
・ 富山の人気ラーメンをカップめんに サークルKサンクス
・ ラーメン“ネタ”交換 フジとWOWOWが異色コラボ
・ 韓国では居酒屋ブーム 日本食が大好き
・ サラダ麺ブームの兆し 背景に女性の健康志向
・ 「民主党全体とパイプがある」―菅新政権発足で原中会長(医療介護CBニュース)
・ <菅内閣発足>「将来像描いて」 脱貧困に願い切実(毎日新聞)
・ <雑記帳>「蚕飼育キット」発売…家庭で繭作り観察を 京都(毎日新聞)
・ 「財政の立て直しで役割果たす」−野田佳彦財務相(医療介護CBニュース)
・ 「とうとう来た…」都城で口蹄疫、衝撃と落胆(読売新聞)
by hvlfaddl4l
| 2010-06-11 21:03